【ティラナ 2月20日】
本日、アルバニア首都ティラナ中心部のスカンデルベグ広場で、同国の長年の指導者エンヴェル・ホッジャの巨大な銅像が、学生や市民の手で引き倒された。広場には多数の群衆が集まり、綱を掛けて像を揺さぶり続け、倒れた瞬間には歓声と拍手が起きたと伝えられる。警官隊も周辺に展開したが、現場は一時、押し合いへし合いとなり騒然となった。
海外通信によれば、同日、首都のほか複数の都市でも像が倒されたとされ、長く抑え込まれてきた不満が一気に噴き出した形だ。銅像は首都の象徴的地点に据えられ、党と国家の威信を示す存在であっただけに、撤去は単なる器物損壊にとどまらず、政治的転換を示す出来事として受け止められている。
広場周辺では、像の台座に人がよじ登り旗を振る姿も見られたという。路面には踏みしめられた雪解けの泥が広がり、通行は一時滞った。現場に居合わせた市民は「長い沈黙が破れた」と語ったとされ、歓呼の声の一方で、先行きを案じる表情も少なくない。
ホッジャは1985年に没したが、その統治下で国は強い統制と孤立の色を深めたとされる。近ごろ国内では複数政党制を求める動きが広がり、大学生を中心に集会や行進が続いていた。冬の冷気が残る広場では、倒れた像の周囲に人垣ができ、「変化」を求める声が交錯したという。
当局の公式説明は限られるものの、首都の風景が一変した衝撃は大きい。きょうの出来事が今後の政局と社会の動揺を占う試金石となるか、内外の視線が注がれている。
— RekisyNews 国際面 【1991年】
