【ケープカナベラル 2月20日】
アメリカ合衆国の宇宙開発史上、最も輝かしい一日が訪れた。本日午前、フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられた有人宇宙船「フレンドシップ7」(マーキュリー・アトラス6号)が、米国初となる有人地球周回飛行に完全成功した。搭乗したジョン・グレン中佐(40)は、約4時間55分にわたり地球を3周し、無事に大西洋上に着水。全米が歓喜の渦に包まれている。
今回の成功は、先行するソビエト連邦(ソ連)の宇宙開発に対し、アメリカが技術的に肩を並べたことを世界に強く印象づけた。ソ連は昨年、ガガーリン少佐らによる周回飛行を成功させていたが、今回のグレン中佐の飛行は、カプセルの操縦にパイロットの意思を介在させるなど、米国の高い制御技術を示すものとなった。
宇宙船はアトラス・ロケットにより打ち上げられ、高度約160キロメートルから260キロメートルの軌道に乗った。グレン中佐は軌道上から「非常に美しい眺めだ」と無線で伝え、窓越しに見える夕景や無重力状態の様子を報告。飛行中には耐熱遮蔽板の脱落を懸念する警報が鳴り、地上管制センターに緊張が走る一幕もあったが、中佐は冷静な判断でこれを乗り切り、帰還カプセルは予定通りの海域にパラシュートで着水した。
ホワイトハウスで朗報を受けたケネディ大統領は、「わが国の勇気と探究心の勝利である」と讃える声明を発表した。この歴史的快挙により、米国は月着陸という壮大な目標に向けて大きく舵を切ることになる。
市中の電気店にはテレビ中継を見守る人々が溢れ、英雄の帰還を祝うパレードを待ち望む声が上がっている。宇宙という「新たなフロンティア」を巡る米ソの競争は、本日、新たな局面へと突入した。冷戦下の緊張が続く中、星々を見上げる人々の目には、希望に満ちた科学の光が映っている。
— RekisyNews 社会面 【1962年】
