【東京 2月20日】
本日、外務省は「外務省布達第1号」として、日本国民が海外へ渡航する際の新たな準則となる「海外旅券規則」を制定・公布した。これまで明治政府が発行してきた「印章(旅券)」の取り扱いを明確に規定し、手続きを統一することで、近代国家としての渡航管理体制を確立する狙いがある。
明治新政府の発足以来、欧米諸国への留学や商用での渡航者は増加の一途を辿っているが、これまでの旅券発行は必ずしも体系化されていなかった。今回の規則制定により、申請者は外務省あるいは各地方庁を通じて正式な手続きを行うことが義務付けられ、発行された旅券には個人の身元を証明する詳細な記録がなされることになる。
特に注目すべき点は、旅券が単なる通行証ではなく、「日本国民であることの証明」としての性格を強めたことだ。条約改正を目指す我が国にとって、自国民が海外で不当な扱いを受けぬよう保護し、同時にその身元を政府が保証することは、国際的な信用を得るために不可欠な要素である。規則の中には、有効期限や手数料、さらには紛失時の罰則等も盛り込まれており、近代的な旅券制度の骨格が整ったといえる。
また、本規則の施行に伴い、これまで「御印章」や「免状」などと呼ばれていた渡航文書の呼称も、正式に「旅券」という言葉で広く統一される見通しだ。外務省の関係者は「世界に伍する文明国家として、国民の海外活動を法的に支える基盤ができた」とその意義を語る。
文明開化の波に乗り、四海へ羽ばたく日本人が増える中、この一通の「旅券」は、異国の地で孤独に戦う先駆者たちにとって、唯一無二の国家の守りとなるだろう。今後、一般庶民の間でも海外への関心が一層高まることが予想される。
— RekisyNews 社会面 【1878年】
