将棋界に歴史的一歩 ── 史上初、公式戦で女流棋士が男性棋士と対局

【東京 2月19日】

本日、東京・将棋会館において、将棋界の歴史を塗り替える画期的な一戦が行われた。第12期新人王戦の1回戦で、男性棋士の高橋道雄四段(21)と、女流棋士の山下カズ子女流名人(34)が対局。公式戦において男性棋士と女流棋士が相まみえるのは、将棋連盟の長い歴史の中で初めてのことである。

午前10時に始まった対局は、開始前から多くの報道陣や関係者が詰めかけ、異様な熱気に包まれた。これまでは「男性棋戦」と「女流棋戦」は明確に峻別されており、実力主義の世界とはいえ、両者が盤を挟んで公式に勝負を競う機会は皆無であった。しかし、女流棋界のレベル向上と普及の進展を受け、若手棋士の登竜門である新人王戦において、ついに女流枠が開放された形だ。

対局は、先手の高橋四段が居飛車を選択したのに対し、山下女流名人が得意の中飛車で対抗する、力強い戦いとなった。山下女流名人は、女性初の公式戦出場という重圧を感じさせない落ち着いた指し回しを見せ、中盤では鋭い攻めを繰り出して高橋四段を追い詰める場面も見られた。対局を見守った棋士の一人は、「女流棋界の第一人者としての意地と、男性棋士に一矢報いようとする執念が指し手に表れている」と感嘆の声を漏らした。

終盤、高橋四段の冷静な対応と正確な読みが勝り、惜しくも山下女流名人は敗れたものの、その戦いぶりは、将棋が性別を問わず知を競う競技であることを強く世に知らしめた。終局後、高橋四段は「非常に緊張したが、全力を尽くした」と語り、山下女流名人は「このような機会を与えられたことに感謝したい。次は勝ちたい」と、早くも次なる戦いを見据えていた。

この一戦は、単なる勝敗を超え、将棋界における「男女の壁」が取り払われ始めた象徴的な出来事といえる。今後、さらに多くの女流棋士が公式戦の舞台で活躍することが期待され、伝統ある盤上の世界に新たな風が吹き込もうとしている。

— RekisyNews 社会面 【1981年】

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