【軽井沢 2月19日】
本日午後、長野県軽井沢町の「あさま山荘」において、銃器で武装した過激派グループ「連合赤軍」のメンバー5名が、管理人の妻を人質に取って立てこもる事件が発生した。警察当局は山荘周辺を完全に包囲し、説得を試みているが、犯行グループは立てこもり直後から銃を乱射して激しく抵抗を続けており、現場は極めて緊迫した状況に包まれている。
現場となったのは、急峻な崖にせり出すように建てられた複雑な構造の山荘である。折からの積雪と零下を下回る厳しい寒さが救出活動の大きな障害となっており、警察側は盾を構えて慎重に接近を図るものの、山荘の窓から放たれるライフル弾により、警察官や報道陣に負傷者が続出している。
犯行に及んでいるのは、群馬県の山岳ベースから逃走中だった坂口弘、坂東國男、吉野雅邦、加藤倫教、加藤元久の5名とみられる。彼らはこれまでにも印旛沼事件や金融機関への襲撃などで指名手配されており、組織的な逃亡の末、最終的な拠点としてこの山荘を占拠したものと考えられている。
近隣住民の間では、数日前から付近の山中で不審な男たちの姿が目撃されており、不安が広がっていた。人質の安否については依然として不明な点が多く、家族や関係者は固唾を飲んで事態の推移を見守っている。政府および警察庁は、人質の安全確保を最優先としつつ、建物の封鎖と補給路の遮断を強化している。
現在、市中の街頭テレビや家庭の受像機の前には、異様な緊張感の中で中継を見つめる人々が溢れている。厳寒の地で始まったこの対峙が、どのような局面を迎えるのか。法と秩序を揺るがす未曾有の凶行に対し、一刻も早い人質の救出と、悪党らの召し捕りが待たれる。
— RekisyNews 社会面 【1972年】
