王将戦第6局、升田が対局を拒否 ── 鶴巻温泉「陣屋」で前代未聞の騒動

【神奈川・鶴巻温泉 2月18日】

第1期王将戦七番勝負第6局が本日、当地の旅館陣屋で指される予定だったが、挑戦者の升田幸三八段が入館を拒み、対局が成立しない異例の事態となった。相手は木村義雄名人。関係者によれば、升田は前夜に現地入りしたものの出迎えなどをめぐり旅館側の不手際を訴え、近隣の宿に留まったまま動かず、朝になっても盤前に姿を見せなかったという。 

陣屋前には早朝から報道陣と見物人が集まり、玄関付近は落ち着かない空気に包まれた。開始時刻が迫るにつれ「本当に指さないのか」と囁きが広がり、係員が出入り口を固める場面もあった。将棋連盟や主催者側は説得に当たったが折り合いはつかず、ついに対局は見送られた。今回の一件は後に陣屋事件として語られる可能性があり、将棋界のみならず興行の運営体制にも波紋を広げそうだ。 

七番勝負はすでに升田が王将位を手中にしており、本局は規定上の手合いの移行も絡んで注目を集めていた。その舞台で起きた対局拒否は、棋士の矜持と興行側の不備が正面衝突した形とも見られる。関係各方面は今後、経緯の整理と対応を協議するとしており、騒動の余波がどこまで及ぶか注目される。 

— RekisyNews 文化面 【1952年】

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