【鹿児島・内之浦 2月17日】
東京大学宇宙航空研究所は本日午前9時40分、鹿児島宇宙空間観測所(内之浦)からM-3Sロケット1号機を発射し、試験衛星「MS-T4」を地球周回軌道へ投入した。衛星はのち「たんせい4号」と命名され、新型ロケットの打上げ性能の確認と、将来の科学衛星に必要な各種の衛星制御方式を実験するのが目的という。軌道は近地点約522キロ、遠地点約606キロの略円で、約96分で地球を一周する。
射点周辺は冬の乾いた風が吹き、管制室ではカウントが進むたびに計器の針へ視線が集まった。点火と同時に白煙が立ち、機体は海へ向かう斜面の上空を離れて上昇。分離・燃焼の通報が相次いだのち、予定の軌道に入ったとの報が入り、関係者から小さなどよめきが起きた。内之浦の集落では発射音が山に反響し、家々の戸口から子どもが空を指さす姿も見られた。
衛星は八角柱形で太陽電池パドルを備え、磁気力でスピン軸の向きを自動で整える装置や、フライホイールを用いた姿勢制御の試験を行う予定だ。記録には磁気バブル式の装置も用い、地上局の呼びかけで必要なデータを送る。さらに太陽のX線を測る分光器なども積み、太陽活動の変化を捉える試みも行う。レーザー反射器やレーダー装置による追跡試験も計画される。
東大宇航研は「安定した姿勢制御の確立が次の衛星の成否を左右する」として、初期運用の成否を慎重に見極める構えだ。国産ロケットと衛星技術の足場固めが、きょう一歩前へ進んだ。
— RekisyNews 科学面 【1980年】
