【北海道・幌加内町母子里 2月17日】
北海道幌加内町母子里の北海道大学演習林(雨龍研究林)で今朝、最低気温が氷点下41.2度まで下がった。気象台の観測網外のため公式記録とは別扱いだが、国内の観測史でも際立つ低温として注目される。道内ではかつて旭川で氷点下41.0度が観測された例が知られるが、今回の値はそれをさらに下回る水準だ。夜半から空は澄み、風は弱く、放射冷却が一気に進んだとみられる。
演習林の庁舎周辺では、戸外に出るだけで鼻腔が痛み、吐く息が白く固まりそうな冷気が漂った。樹木は霜をまとい、雪面には細かな氷晶が舞い、月明かりにきらめく様子が見られたという。現地の職員は「計器の指針が信じがたいところまで沈んだ」と語り、静けさの中で寒さだけが際立ったと振り返る。
町内では水道の凍結や車両の始動不良が相次ぎ、登校の時間を遅らせた学校もある。路線バスは一部で運休し、郵便の集配も遅れが出た。住民は薪や石炭の火を絶やさぬよう備え、家畜小屋の保温に追われた。役場は外出を控え、長時間の屋外作業を避けるよう呼びかけている。
今回の極端な冷え込みは、上空の寒気に加え、盆地地形で冷気が滞留しやすい母子里特有の条件が重なったとみられる。専門家は、こうした観測が寒冷地の気象把握と防災に役立つとして、継続した記録の重要性を指摘している。厳冬の地が示した数字は、北国の暮らしの厳しさを改めて浮かび上がらせた。
— RekisyNews 科学面 【1978年】
