【ローマ 1月27日】
本日、宇宙論や神学において独自の思想を展開してきた哲学者 ジョルダーノ・ブルーノ が、ローマの異端審問所に正式に引き渡された。ブルーノは、ニコラウス・コペルニクス の唱えた地動説を積極的に擁護し、宇宙は無限であり無数の世界が存在するとの主張を公然と展開してきた人物である。
ブルーノはナポリ王国出身の元ドミニコ会修道士で、聖書解釈や神の在り方についても従来の教義から大きく逸脱した思想を示していた。各地を遍歴しながら講義や著作活動を行ったが、その内容は次第に神学的危険思想と見なされ、各国で警戒の対象となっていた。今回の身柄引き渡しは、ヴェネツィア宗教裁判所での拘束を経て実現したものである。
異端審問所関係者によれば、ブルーノは今後長期にわたり獄中に留め置かれた上で審理を待つ見通しとされる。教会側は、地動説そのものだけでなく、ブルーノの唱える宇宙観や神概念が、キリスト教的世界秩序を根底から揺るがす点を重く見ているという。
当面、正式な異端審問の開始時期は定まっていないが、長期審理となる可能性が高い。知の探究を優先する新しい自然哲学と、信仰秩序の維持を重んじる教会権威との緊張関係が、一人の思想家の運命を通じて鮮明に表れた形となった。
— RekisyNews 宗教・思想面 【1593年】
