高尾山参詣を結ぶ鋼索線開業 清滝―高尾山間にケーブルカー

【東京府八王子町 1月21日】

多摩の霊峰・高尾山への参詣を容易にする新たな交通手段として、本日、清滝―高尾山間に高尾登山鉄道のケーブルカーが開業した。これにより、これまで急峻な山道を徒歩で登らねばならなかった参詣者は、短時間で山腹まで到達できるようになり、参詣の様相は大きく変わる見通しである。

この鋼索線の整備は、高尾山薬王院第27世貫首の武藤範秀が発案したものとされる。武藤は、高尾山が古来より修験の霊場でありながら、登山の負担が高齢者や女性の参詣を妨げている現状を憂慮し、「誰もが手軽に薬王院へ参詣できる道を」との趣旨から鉄道敷設を後押ししたという。

運営にあたる高尾登山鉄道によれば、路線は急勾配に対応した安全設計が施され、山岳地帯の景観を損なわぬよう配慮されている。開業初日から多くの参詣者や行楽客が訪れ、車内や清滝駅周辺は賑わいを見せた。

この新交通の誕生は、宗教的参詣にとどまらず、高尾山一帯の観光振興にも寄与する画期的な出来事として注目されている。山と信仰、そして近代交通が結びついたこの一歩は、今後の郊外観光の在り方にも影響を与えそうだ。

— RekisyNews 文化面 【1927年】

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