【奈良・明日香 1月19日】
奈良県明日香村の飛鳥池遺跡で行われていた発掘調査において、日本最古の通貨とされる富本銭(ふほんせん)が出土したことが、本日明らかになった。古代国家形成期の貨幣制度を考える上で、きわめて重要な発見として注目を集めている。
富本銭は、銅製で円形・方孔を持つ銭貨で、これまで文献上の存在は知られていたものの、実物の確認例はなく、その実在性をめぐっては学界でも議論が続いていた。今回の発掘では、7世紀後半の遺構から複数枚がまとまって出土し、日本における貨幣使用の開始時期を実証的に示す初の資料となった。
調査関係者によれば、富本銭は唐の銭貨を模した形状を持ちながらも、日本独自の銘文を刻んでおり、律令国家成立前後の政治・経済制度を反映したものとみられる。これにより、従来「和同開珎」が最初の流通貨幣とされてきた通説の見直しが迫られる可能性が高い。
飛鳥池遺跡は、都城関連施設や工房跡が集中する中枢的遺跡として知られており、今回の発見は、飛鳥時代における国家的事業としての貨幣鋳造を強く示唆する成果といえる。文化庁は今後、詳細な分析を進め、富本銭の用途や流通範囲の解明を目指すとしている。
— RekisyNews 文化面 【1999年】
