【ワシントン 1月19日】
第二次世界大戦中に日本からの英語放送に関与したとして知られる「東京ローズ」ことアイバ戸栗ダキノ氏に対し、ジェラルド・R・フォード米大統領が特赦を与えた。これにより、同氏は戦後に失われていたアメリカ国籍を回復することとなった。
アイバ氏はロサンゼルス生まれの日系アメリカ人で、戦時中に日本に滞在中、対米向けのラジオ放送に出演したとされる。終戦後に帰国したが、1949年に反逆罪で有罪判決を受け、禁錮刑と罰金刑が科され、米国籍も剥奪された。その後、服役を終え釈放されたものの、長年にわたり法的・社会的な名誉回復を求める声が続いていた。
近年、当時の裁判では証言の信頼性や捜査手法に問題があったとの再検証が進み、検察側証人の虚偽証言の可能性などが指摘されていた。こうした経緯を踏まえ、フォード大統領は「正義と人道の観点」から特赦を決断したと説明している。
この特赦により、アイバ氏は正式にアメリカ市民としての地位を回復する。支援者からは「戦時の混乱の中で生じた不当な烙印が、ようやく是正された」と歓迎の声が上がる一方、戦争記憶との向き合い方をめぐり、米国内ではなお議論も残る。
戦後30年以上を経て下された今回の判断は、戦時司法の検証と、市民権の重みを改めて問いかける出来事となった。
— RekisyNews 社会面 【1977年】
