ドヴォルザーク新作交響曲『新世界より』、ニューヨークで初演──満場の聴衆が喝采

【ニューヨーク 12月16日】

チェコの作曲家アントニン・ドヴォルザークが米国滞在中に書き上げた交響曲第9番『新世界より』が、本日ニューヨークのカーネギー・ホールで世界初演を迎えた。ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏により披露されたこの新作は、初演直後から熱狂的な拍手が続き、聴衆・楽団員ともに大きな興奮に包まれた。

楽長アントン・ザイドルの指揮のもと演奏された本作は、アメリカ民謡や黒人霊歌の響きを着想に取り入れながらも、ドヴォルザーク特有の抒情性と構成美を保持した堂々たる交響曲に仕上がっている。特に第2楽章の深い哀愁を湛えたイングリッシュホルンの旋律や、終楽章の力強い主題は聴衆の心を強く捉えた。

初演後の会場では、アメリカの新しい音楽的源泉を探ろうとする同作の姿勢が高く評価され、「欧州から遠く離れた地で、新たな交響曲の道が開けた」との声も上がった。作曲者ドヴォルザークは拍手に応えて姿を見せ、観客からの祝意を静かに受け止めた。

本作は本年度の最重要音楽作品のひとつとして、今後も欧米各地での再演が期待されている。

— RekisyNews 文化面 【1893年】

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