大作『風と共に去りぬ』ついに公開──アトランタで華やかなワールドプレミア

風と共に去りぬ

【アトランタ 12月15日】

アメリカ南部のジョージア州アトランタで本日、マーガレット・ミッチェル原作の大作映画 『風と共に去りぬ』が世界で初めて公開された。 プレミア上映を迎えた市内は祝祭ムードに包まれ、劇場前には赤い絨毯が敷かれ、各地から詰めかけた観客が長い列を作った。

上映が行われたロウズ・グランド・シアター周辺では、市主催のパレードや南部伝統音楽の演奏が行われ、沿道には数万人が集まったとされる。公開を祝してアトランタ市は三日間の特別行事を企画し、街は原作小説の舞台としての誇りを示した。会場には出演俳優や制作関係者も姿を見せ、主演のヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルが登場すると大きな歓声が上がった。

映画は南北戦争と復興期を背景に、スカーレット・オハラの波乱に満ちた人生と恋愛を壮大なスケールで描くもの。原作はすでに全米で大ベストセラーとなっていたことから、期待は大きく、観客は冒頭から息をのむようにスクリーンを見つめ続けた。上映後はスタンディングオベーションが起き、映画館前では興奮冷めやらぬ観客が感想を語り合う姿も見られた。

関係者は「南部の歴史と人々の情感を映像として再現する試みが、ようやく形になった」と語り、今後の全米公開に大きな自信を示している。制作費・宣伝費ともに当時としては破格の規模とされる本作品は、映画産業の新時代を象徴する一本になるとの見方が強い。

— RekisyNews 文化面 【1939年】

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