【東京 12月15日】
東京帝国大学史学会は本日、日本で初となる本格的な歴史学専門誌『史学雑誌』を創刊した。学会の機関誌として刊行される同誌は、国内外の史料研究・歴史論文を広く掲載し、近代的な歴史学の確立を目指すものとして注目を集めている。
創刊号には、日本史・東洋史・西洋史の各分野から研究者が寄稿し、史料の紹介や考証を中心とした学術論文が並ぶ。帝国大学の教授は「歴史研究を学問として体系化し、国際的な水準に引き上げるための場となる」と語り、今後は会員のみならず全国の研究者にも門戸を開いていく方針を示した。
明治維新以降、近代国家としての建設が進む中で、歴史学教育や史料整理の重要性は高まっていた。各地の文献調査や古記録の保存が課題となる一方で、研究成果を公開する媒体は限られており、学問的議論が十分に深まらない状況が続いていた。『史学雑誌』の創刊は、こうした問題を解決する画期的な一歩といえる。
学会関係者は「国内の若い研究者が成果を発表し、互いに論じ合える場がようやく整った」と期待を寄せており、日本の歴史学が新たな段階へ進む契機として位置づけられている。今後は定期刊行を継続し、海外学術界との交流も視野に研究の充実を図る方針だ。
— RekisyNews 文化面 【1889年】
