上野の人気者フェイフェイ死す──多くの来園者に親しまれたパンダ、老衰で静かに息を引き取る

【東京 12月14日】

上野動物園は本日、ジャイアントパンダのフェイフェイ(雄)が老衰により死亡したと発表した。園の説明によれば、フェイフェイは近ごろ食欲が低下し、飼育係が看病を続けていたが、今朝方静かに息を引き取った。推定年齢は16歳で、パンダとしては高齢に属し、担当者は「よく頑張ってくれた」と言葉を詰まらせた。

フェイフェイは中国から来日して以来、上野動物園の象徴的存在として親しまれてきた。穏やかな性格と愛らしい仕草は多くの来園者を魅了し、休日には長い行列ができることも珍しくなかった。特に幼い子どもたちの人気は高く、園内には「フェイフェイを見るために来た」という声が絶えなかった。飼育係は「彼の表情には不思議な魅力があり、毎日が仕事というより共に過ごす時間だった」と振り返る。

園は、フェイフェイが果たした役割は、動物への理解を深める上で大きかったと強調し、しばらくは展示室に献花台を設ける予定だという。来園者の一人は「上野といえばパンダ。子どもの頃から見ていたので寂しい」と語り、別れを惜しんだ。

— RekisyNews 社会面 【1994年】

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