失踪11日目、人気作家クリスティ夫人を保護──ハロゲイトの温泉ホテルで無事確認

【ハロゲイト 12月14日】

今月3日以来行方が分からなくなっていた英国の作家アガサ・クリスティ夫人が、本日、北部ヨークシャーの保養地ハロゲイトにて無事保護された。夫人は別名「テレサ・ニール」を名乗って宿泊しており、家族が本人であることを確認した上で保護された。国中を巻き込んだ失踪騒動はようやく収束へ向かうこととなった。

捜索は広範囲に及び、夫人の自動車が放置されていたこともあり、事故や事件の可能性が取り沙汰されていた。ハロゲイトのホテル従業員が新聞記事に掲載された写真と宿泊客の姿が似ていると通報したことで、警察と家族が現地に急行。面会の結果、夫人は強い疲労の様子を見せつつも無事であることが確認された。

失踪の理由については明らかにされていないが、近親者によれば夫人は近時、家庭内の問題や仕事の重圧に悩まされていたという。宿泊名義に用いられた「テレサ・ニール」は、夫人の夫が親しくしていた女性の姓と似ており、その点を巡ってさまざまな憶測が広がっている。

英国文学界では、著名作家の突然の失踪と保護の知らせに大きな反響が起きている。出版社関係者は「読者が愛する作家が無事で何よりだ」と語り、夫人の静養と回復を最優先に願う声が相次いでいる。

— RekisyNews 文化面 【1926年】

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