NHKラジオ、新番組『話の泉』スタート──日本初の本格クイズ番組に全国の聴取者が注目

【東京 12月3日】

本日、NHKラジオにて日本初となる本格クイズ番組 『話の泉』 が放送を開始した。戦後間もないラジオ放送界において、新しい形式の番組として期待が高まっており、初回放送から多くの反響が寄せられている。

番組は、知識や機知を競う“文化的娯楽”を目指したもので、複数の回答者が出題に挑み、そのやり取りを楽しむ構成。司会は落ち着いた語り口で知られる 小泉恭次アナウンサー が務め、解答者としては俳優の北村和夫氏、作家や学者など各界から話題の人物が参加した。初回放送では文学、地理、時事問題など幅広い質問が出され、回答者同士の掛け合いにスタジオが笑いに包まれる場面もあった。

放送直後から、都内の喫茶店や市電の中では番組の話題が広がり、「難しいが面白い」「家族で答えを考えながら聴けた」といった声が聞かれた。特に若い聴取者の間では「新しいタイプの娯楽番組」として関心が高く、書店ではクイズ本を手にする人も目立ったという。

NHK関係者は「知識を楽しむ番組を作りたかった。戦後の文化復興の一助となれば」と語り、今後は視聴者からの投稿を取り入れる企画も検討している。スタジオでは番組スタッフが次回以降の問題作成に追われており、「より多くの聴取者に楽しんでもらいたい」と意気込みを見せた。

一方、地方の放送局でも順次中継が進められる予定で、地方紙は「知識欲を刺激する新番組」と評価。戦後の混乱から立ち直りつつある家庭にとって、ラジオの新しい楽しみ方が広がるとみられる。

初回放送を聴いた市民の一人は「終戦後の暗い気分が少し晴れたようだ。来週も楽しみ」と語り、日本のラジオ文化が新たな段階へ進んだことを実感した様子だった。

今後『話の泉』がどのように発展していくのか、ラジオ放送の可能性を広げる番組として期待が高まっている。

— RekisyNews 文化面 【1946年】

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