アガサ・クリスティ新作戯曲『ねずみとり』、ロンドンで初演

【ロンドン 11月25日】

推理小説の女王として知られるアガサ・クリスティ氏の新作戯曲『ねずみとり(The Mousetrap)』が、本日ロンドンのアンバサダー・シアターで初演された。満席の観客を前に幕を開けたこの舞台は、密室殺人と意外な犯人というクリスティ氏ならではの魅力が凝縮された作品として、大きな注目を集めている。

舞台は雪に閉ざされた英国の田舎のゲストハウス。宿泊客の中に殺人犯が潜んでいるという緊迫感の中、次第に明かされる登場人物たちの秘密と、事件の真相がサスペンスフルに展開する。観客は最後の最後まで犯人の正体に気づけず、終演後にはどよめきと拍手が鳴り止まなかった

本作はもともと、メアリー王太后の80歳の誕生日を祝うために制作され、1947年にBBCラジオで放送された短編『Three Blind Mice(3匹の盲目のネズミ)』をもとに脚本化されたもの。舞台化にあたり、登場人物や構成に変更が加えられ、劇場ならではの緊張感を生む仕上がりとなっている。

ロンドン劇界では「今世紀最高のミステリー劇のひとつ」との声もあり、今後の長期公演も期待される。なお、劇の終盤で明かされる犯人の名前については、観客に「秘密を守る」よう呼びかけが行われるという異例の対応も話題だ。

— RekisyNews 文化面 【1952年】

アイキャッチ画像 Agatha Christie plaque -Torre Abbey.jpg: Violetrigaderivative work: F l a n k e r – Agatha Christie plaque -Torre Abbey.jpg, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4841991による

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