【東京 11月17日】
連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は本日、国内の映画館および配給各社に対し、剣劇映画(時代劇の殺陣・立ち回りを中心とした作品)の上映禁止を正式に通告した。理由として、暴力的・封建的価値観の助長につながる恐れがあるとし、占領政策の一環として文化統制を強化する姿勢を示した。
禁止の対象となるのは、刀剣による戦闘場面や敵味方の斬り合いを主軸とする作品群で、江戸時代を舞台とした股旅物や武家物がほぼ全面的に含まれる。これにより、戦前から人気の高かった大河内傳次郎、市川右太衛門、片岡千恵蔵らの主演作品は当面スクリーンから姿を消すことになる。急な決定に、東京・銀座などの映画館では上映作品の張り替えを迫られ、朝から慌ただしい様子が見られた。
映画関係者の間では「娯楽の柱を折られた」と落胆の声が上がる一方、「新しい表現を模索する好機」と前向きに捉える動きもある。配給会社の一つは「民主主義に沿った社会劇や家庭劇を強化する」と発表した。戦争直後で娯楽を求める市民は多く、映画館の入り口では突然の中止を知らされ驚く観客の姿も目立った。
占領当局は、旧体制の象徴とみられる文化要素の排除を進めており、今回の措置もその一環とされる。日本映画界の再編は避けられず、戦後の新しい大衆文化がどのように形作られるか、大きな転換点となりそうだ。
— RekisyNews 文化面 【1945年】
