銀幕に突如現る“怪獣王”――日本初の特撮怪獣映画『ゴジラ』が本日公開

【東京 11月3日】

本日、東宝が製作した日本初の特撮怪獣映画『ゴジラ』が、東京・有楽座をはじめとする劇場で一斉に公開された。巨大な怪獣が東京を襲うという未曾有のスケールで描かれた本作は、早くも観客の間に衝撃と興奮をもって迎えられている。

監督は『銀嶺の果て』『さらばラバウル』などで知られる本多猪四郎、特殊技術は『太平洋の鷲』などで高い評価を得た円谷英二が担当。水爆実験によって覚醒した太古の怪獣“ゴジラ”が、海を渡って東京を破壊するという物語は、戦後の不安と核への恐怖を象徴的に描き出している。

身長50メートルの巨大怪獣ゴジラは、着ぐるみとミニチュア撮影を駆使した“特撮”により、これまでの日本映画では類を見ないリアルさでスクリーンに登場。東京湾に上陸し、鉄塔をなぎ倒し、街を火の海に変えるシーンは、観客の度肝を抜いた。

主演は宝田明河内桃子平田昭彦ら若手を中心に据え、科学者・山根博士の葛藤や、人類が怪獣とどう向き合うかというテーマも重厚に描かれている。特に平田演じる芹沢博士が開発した“オキシジェン・デストロイヤー”の選択には、核兵器と倫理の問題が深く刻まれている。

公開初日から劇場前には長蛇の列ができ、「見たことのない日本映画」「これぞ時代の象徴」との声も多い。東宝関係者によれば、今後の地方公開や続編の製作も検討中とのことで、“ゴジラ現象”が全国に広がるのは時間の問題と見られる。

— RekisyNews 映画面 【1954年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次