【ニューヨーク 11月3日】
本日、ニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデンにて、世界初となる自動車ショーが華々しく幕を開けた。この催しはアメリカ自動車クラブ(Automobile Club of America)の主催により開催され、来場者は最新技術を搭載した「ガソリン車」「蒸気自動車」「電気自動車」など、多様な動力方式の約70台の自動車が一堂に会する壮観な展示に目を見張った。
会場は大規模な屋内スペースに赤絨毯が敷かれ、各社の車両が整然と並ぶ。展示車両にはデュラント・モーター社、オールズモビル社、スタンレー・スチーマーなど、当代注目のメーカーが揃い踏み。来場者は各車両のエンジン音や動力の仕組みを間近に見聞きでき、主催者によれば初日だけで1万人を超える動員があったという。
これまで一部の富裕層の遊び道具と見られていた自動車だが、このショーによって「馬なし馬車」が実用的な交通手段として普及する可能性が広く認識された。特に蒸気駆動や電動車に対する関心が高く、環境への負荷や走行音の静かさなどが注目点として挙げられている。
今後1週間にわたり開催されるこのイベントでは、試乗デモンストレーションや技術講演会、運転技術の披露も予定されており、自動車業界の発展を象徴する画期的な催しとなる見通しだ。
産業革命以後、鉄道に続く交通革命の次なる主役としての「自動車」──その未来が、いま確かに動き出した。
— RekisyNews 科学技術面 【1900年】
