【シドニー 10月20日】
本日、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の州都シドニーにて、世界的建築プロジェクト「シドニー・オペラハウス」が正式に開場した。式典には英国エリザベス二世女王が臨席し、約15年の歳月をかけて建設されたこの壮麗な建造物がついに世界にその姿を現した。
シドニー湾に突き出たベネロング・ポイントに立つオペラハウスは、デンマークの建築家ヨーン・ウツソン氏による設計で、白い帆のような屋根構造が特徴的な革新的デザイン。その芸術性と技術の両面において世界から高い評価を受けており、すでに現代建築の象徴とも評されている。
建設は1957年に国際コンペでウツソン案が選ばれて始まったが、当初の予算を大きく上回る1億オーストラリアドル以上が費やされ、工期も予定の10年を超過。途中、設計者ウツソン氏が政治的対立の末に辞任するなど、幾多の困難を乗り越えての完成となった。
本日のこけら落としでは、ベートーヴェンの交響曲やオーストラリア・バレエ団の特別公演が行われ、約1,500名の招待者が文化の殿堂の誕生を祝った。オペラ、演劇、交響楽、バレエなど多目的な公演に対応する5つの劇場を内部に備えるなど、機能性も世界最高水準である。
州政府関係者は「これは単なる劇場ではなく、オーストラリアの誇りであり、世界との文化的架け橋となる存在」と語った。
世界に新たな文化の象徴が生まれたこの日を、シドニー市民のみならず全オーストラリア国民が誇りに感じている。
— RekisyNews 文化面 【1973年】
アイキャッチ画像 Thomas Schoch – Thomas Schoch at http://www.retas.de/thomas/travel/australia2005/index.html, CC 表示-継承 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=671209による