若きモーツァルトの歌劇、ミラノで初演──『アルバのアスカーニョ』に喝采

【ミラノ 10月17日】

本日、ミラノのレッジョ・ドゥカーレ劇場において、神童ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(15歳)が作曲した新作歌劇『アルバのアスカーニョ(Ascanio in Alba)』が初演され、詰めかけた聴衆から大きな喝采を浴びた。

この作品は、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世の弟であるフェルディナント大公とマリア・ベアトリーチェの婚礼祝賀として上演されたもので、祝典オペラ(フェスタ劇)の形式をとっている。台本は詩人ジュゼッペ・パリーニが執筆し、古代ローマ建国神話の英雄アスカーニョを主人公とした寓意的な内容となっている。

舞台は、豊かな自然に囲まれた理想郷「アルバ・ロンガ」。ヴィーナスの命によってアスカーニョが女神シルヴィアと結ばれる過程を通して、愛と誠実、未来の繁栄が讃えられる構成で、壮麗な合唱や華やかな舞踊も交え、式典にふさわしい演出が施された。

観客の間では、「15歳とは思えぬ音楽的構成力と美しい旋律のセンスに驚嘆した」「若きモーツァルトがいかに将来を嘱望されているかがよくわかる舞台」といった声が多く聞かれた。

3年前にヨーロッパ各地を巡った演奏旅行で注目を集めた少年が、今や本格的な作曲家として宮廷の式典を飾る存在へと成長した姿に、多くの人々が感銘を受けたようだ。

今後も彼の動向には、ヨーロッパ各国の音楽関係者からの注目が集まることは間違いない。

— RekisyNews 文化面 【1771年】

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