【ロンドン 10月9日】
ロンドンのハー・マジェスティーズ劇場にて本日、作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバー氏による新作ミュージカル『オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)』が華々しく幕を開けた。
初演には多くの演劇関係者や評論家が詰めかけ、英国演劇界における大きな話題となっている。
物語は、ガストン・ルルーの同名小説を原作に、19世紀末のパリ・オペラ座を舞台に展開。謎の仮面の男“ファントム”と若き歌姫クリスティーヌの愛と悲劇が、重厚な音楽と共に描かれる。
演出はハロルド・プリンス氏、主演のファントム役にはマイケル・クロフォード氏、クリスティーヌ役にはサラ・ブライトマン氏が抜擢された。ブライトマン氏は作曲家ウェバー氏の夫人でもあり、その透明感あるソプラノが劇場中に響き渡った。
特に観客の注目を集めたのは、巨大なシャンデリアが落下する迫真の演出や、舞台上に広がる地下湖の幻想的な照明表現など、舞台技術を駆使した壮大な演出である。
音楽面では、主題歌「The Phantom of the Opera」をはじめ、「Music of the Night」「All I Ask of You」など、耳に残る旋律が次々と披露され、観客を魅了した。
公演終了後、スタンディングオベーションが数分間にわたり続き、多くの観客が「これはロンドン演劇史に残る夜になる」と口をそろえた。
ウェバー氏にとっては『キャッツ』や『ジーザス・クライスト=スーパースター』に続く代表作となる可能性が高く、今後のロングランにも期待がかかる。
— RekisyNews 文化面 【1986年】