天上に突如現れた新星──独占観測、ヨハネス・ケプラー博士が報告

【プラハ 10月9日】

昨夜、神聖ローマ帝国の都プラハにて、皇帝ルドルフ2世の宮廷天文学者であるヨハネス・ケプラー博士が、天空に新たな星の出現を確認したと発表した。博士によると、その星はへびつかい座付近に突如として強い輝きを放ち始め、かつてない明るさを示しているという。

博士は昨夕の天体観測中、通常は星の存在しない領域にて火星にも匹敵する明るさの光点を発見。「天界に変化なし」とするアリストテレス哲学の前提を覆す現象として、精密な記録を開始した。

この新星の出現は、32年前の1572年にティコ・ブラーエが観測した超新星以来の事象とされ、「新星(ノヴァ)」として天文学界に激震を与えるものだ。

博士は「この星は恒星ではなく、一時的に出現した特異な光源であり、神の意志か、天界の構造に関する新たな手がかりである可能性がある」との見解を示した。なお、この現象は毎夜肉眼での観測が可能であり、しばらくは輝きを保つと推測されている。

市民の間でも「天からの吉兆」「神の啓示」との声が上がる一方で、戦乱の前触れではとの不安も広がっている。プラハ城周辺では、修道士らが夜空を見上げ祈りを捧げる光景も多く見られた

本紙では今後もケプラー博士による観測結果を随時報告し、この天体の動向を追跡していく予定である。

— RekisyNews 科学面 【1604年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次