【ニュージャージー州ウェストオレンジ 10月6日】
発明王トーマス・エジソン氏(42)が、自身のメンロパーク研究所において、動く映像の記録と再生に関する初の実験を行ったことが6日、関係者の証言により明らかとなった。
これは「キネトスコープ」と呼ばれる新たな装置の開発に向けた初期段階のもので、連続した写真を光源と回転機構により動きのある映像として見せることを目的としているという。
今回の実験は、シリンドリカル(円筒形)のフィルムを用いたもので、1秒間に数枚の写真を連続で撮影・再生する仕組みとされ、被写体の連続的な動きを捉えることに成功したとのこと。
この技術が実用化されれば、動く写真を一般人がのぞき窓越しに鑑賞する装置が誕生する見込みで、視覚の娯楽に革命をもたらす可能性がある。
関係筋によれば、映像技術の開発は、先に音を記録する蓄音機と組み合わせる構想もあり、音と映像が同時に楽しめる日も遠くないという。
「将来、人々は芝居や日常の出来事すらも、記録し再生して楽しめるようになるかもしれない」と、研究所関係者は語った。
エジソン氏は、電球や蓄音機など数々の革新的発明で知られるが、「視覚の記録と再現」という新たな領域に乗り出したことで、世界の科学界に再び衝撃が走っている。
— RekisyNews 科学面 【1889年】