【東京 9月28日】
本日、日本テレビ放送網(日本テレビ)は、世界で初めてとなる音声多重放送の本格運用を開始した。この技術により、1つのチャンネルで複数の音声を同時に放送することが可能となり、視聴者が音声を自由に選択できる新しい時代の幕が開けた。
初の実用放送は、午後7時からのバラエティ番組『木曜スペシャル』にて行われ、副音声には英語解説を追加。ステレオ放送にも対応しており、受信機が対応していれば臨場感ある音響や外国語音声も楽しめる仕組みとなっている。
開発にあたっては、郵政省(現・総務省)と放送技術研究所の長年の研究成果が結集され、日本が放送技術分野において世界をリードする形となった。今後は教育番組における副音声解説や、外国語学習支援、視覚障害者向け音声ガイドなど、多様な活用が見込まれる。
日本テレビの技術担当者は、「単に音声を増やすだけでなく、視聴者一人ひとりに対応するテレビ放送の第一歩です」とコメント。民放他局やNHKも関心を示しており、今後の普及と機器の対応状況が鍵を握ると見られている。
なお、対応テレビ受信機は現在一部メーカーより発売中で、今後の一般家庭への普及も見込まれている。テレビ放送における“音”の役割が、ここにきて再び大きく注目を集めている。
— RekisyNews 科学技術面 【1978年】