小澤征爾氏、ボストン響で初のタクト振る──アジア出身初の常任指揮者に聴衆喝采

【ボストン 9月24日】

本日、世界有数のオーケストラとして名高いボストン交響楽団が、新たな常任指揮者として迎えた日本人指揮者・小澤征爾(38)氏による初コンサートを開催し、当地のシンフォニーホールは興奮と期待に包まれた。

小澤氏はアジア出身者として初めてアメリカ五大オーケストラの常任指揮者に就任したことで世界的に注目されており、その初公演には多くの音楽ファンや評論家が詰めかけた。プログラムはベートーヴェンの交響曲第7番やストラヴィンスキーの火の鳥組曲など、彼の情熱的で明快な音楽性が発揮される内容となった。

指揮台に立った小澤氏は、明晰なリズム感と大胆なダイナミクスでボストン響を巧みに導き、観客を熱狂の渦に巻き込んだ。フィナーレでは、満場の聴衆が総立ちとなり、スタンディングオベーションが長く続いた。

公演後、地元紙「ボストン・グローブ」は「この夜、ボストン交響楽団に新しい血が注がれた」と評し、小澤氏の今後の展望に大きな期待を寄せた。

小澤氏は東京出身。パリ音楽院留学後、バーンスタインやカラヤンのもとで研鑽を積み、サンフランシスコ響やトロント響などでの経験を経て、今回の抜擢に至った。今回の就任は、国境を越えた音楽交流の象徴とも言え、日本のクラシック音楽界にとっても大きな快挙である。

— RekisyNews 芸術面 【1973年】

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