【パリ 9月24日】
本日、フランスの技術者アンリ・ジファール氏(27)が、自ら設計・製造した動力付き飛行船によって、パリからトラップ(Trappes)間の約27キロメートルの飛行に成功した。歴史上初となる「動力による制御飛行」として、航空技術における画期的な一歩が刻まれた。
飛行船は、長さ約44メートル・容積2,500立方メートルの葉巻型の気嚢に、軽量な3馬力の蒸気エンジンを搭載。直径3.5メートルのプロペラを回転させて推進力を得る構造で、最大飛行速度は時速10キロメートル程度に達した。
ジファール氏は本日午前、パリのイポドローム・ド・ロンシャン付近から離陸。セーヌ川沿いの風を受けながら高度180メートル前後を保ちつつ、約3時間かけて目的地トラップ近郊の野原に着陸した。飛行中、操縦は安定しており、明確な進路制御が可能であったとされる。
従来の気球は風任せの移動に限られていたが、今回の飛行船は人の意思による航行が可能となった点で決定的な違いがある。現地で見守った技術者や市民らからは「空に道ができた」と驚きと称賛の声が上がった。
ジファール氏は気球や蒸気機関の技術に精通した若き発明家であり、これまでも高高度観測気球や蒸気機関車の設計に携わってきた人物。今回の成果について、「これは始まりに過ぎません。空を旅する時代が来るのです」と意気込みを語った。
この歴史的飛行は、空を移動手段とする未来への扉を開くものであり、世界中の科学者・技術者に新たな刺激を与えるものとなるだろう。
— RekisyNews 科学技術面 【1852年】