【ベルリン 9月23日】
本日未明、ベルリン天文台において、若き天文学者ヨハン・ガレ氏が、太陽系第8の惑星とされる“新天体”を観測によって確認した。驚くべきは、この発見がフランスの天文学者ウルバン・ルベリエ氏の理論計算に完全に一致した位置であったという点にある。
観測は、ルベリエ氏がパリ天文台から送った計算書をもとに、9月23日の夜、ガレ氏と助手のハインリヒ・ダレスト氏によって実施された。夜空を望遠鏡で確認したところ、ルベリエの計算した場所に、これまで記録されていない天体が光を放っていた。
「確かにそこにあった」とガレ氏は語る。わずか数時間の観測で、この天体が背景の星々に対してわずかに移動している様子が確認され、惑星である可能性が極めて高いとされた。
この惑星の存在は、長らく天文学者の間で議論されていた。天王星の軌道にわずかな乱れがあり、その原因として「さらに外側に未知の惑星が存在する」と予測されていたのである。ルベリエ氏は独自にその質量・軌道・位置を計算し、9月18日にベルリン天文台に観測を依頼。それからわずか5日後の快挙となった。
この“計算による惑星発見”は天文学史における大事件であり、理論が観測を先導する時代の到来を告げるものとして、ヨーロッパ各地の学界に衝撃を与えている。
現在、発見された天体の命名を巡って議論が始まっており、「ネプチューン(海の神ネプトゥヌス)」などの名が候補に挙がっている。
— RekisyNews 科学面 【1846年】