【アトランシティ 9月17日】
昨夜、ニュージャージー州アトランティックシティで開催された第63回「ミス・アメリカ」コンテストにおいて、ニューヨーク州代表のヴァネッサ・ウィリアムス氏(20)が優勝し、アフリカ系アメリカ人として初めて王冠を手にした。この歴史的快挙は、会場を埋め尽くした観客からの大歓声とともに、全米に向けて生中継された。
ヴァネッサ氏はニューヨーク州シラキュース出身で、現在は芸術大学に在学中。音楽と演劇を専攻しながら、優れた歌唱力と知性、堂々とした舞台でのふるまいで高く評価されてきた。特に本選で披露したミュージカルナンバー『Happy Days Are Here Again』では、観客の心を強く掴み、審査員からの支持を決定づけた。
本大会は1921年の創設以来、白人女性が独占してきたことで知られていたが、今回のヴァネッサ氏の戴冠は、その慣習に風穴を開ける画期的な出来事として、黒人コミュニティをはじめ多くの米国市民に歓迎されている。
南部各地ではテレビ越しに涙する黒人女性の姿も見られ、ある視聴者は「私たちの娘がようやく、全国の舞台で認められた気がする」とコメント。公民権運動から20年余りが経過した今も、人種による壁が根強く残る米社会において、本選出は象徴的意義を持つ。
ヴァネッサ氏は授賞後の記者会見で、「私は自分の力を信じてきました。どんな背景の人であっても、夢は叶えられると信じています」と述べ、全国の若者に向けてメッセージを送った。
この出来事は、ミス・アメリカという枠を超え、アメリカ社会の価値観の変化を象徴する転換点として、今後の議論を呼びそうだ。
— RekisyNews 社会面 【1983年】