【ワシントンD.C. 9月15日】
本日、全米ネットワークの新しい日刊紙『USAトゥデイ(USA Today)』が正式に創刊された。発行元は新聞王ギャネット社。同紙はこれまでの新聞とは一線を画す斬新なレイアウトとカラー印刷を特徴としており、アメリカ報道界における一大実験として注目を集めている。
『USAトゥデイ』は、スポーツ・経済・エンタメ・国内外ニュースといったジャンルごとに明確な色分けと図表を多用し、視覚的なわかりやすさとスピード感を重視。従来の活字中心の紙面構成に慣れた読者層に対し、テレビ世代の新たな読者を取り込む狙いがあると見られている。
創刊号の一面では、「なぜ今、USAトゥデイなのか?」と題した社説が掲載され、「私たちはアメリカ全体の“今”を、毎日、簡潔に、正確に届けることを使命とする」と掲げた。また、各記事には短く要点を押さえた見出しとともに、天気図、統計、インフォグラフィックがふんだんに使われている。
発行部数は初日で110万部に達し、すでにニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなど主要都市の売店で完売したところも出ている。編集長は、「我々は紙面を“読む”のではなく“見る”時代に突入した」と語り、今後も読者のライフスタイルに応じた情報提供を進める意向を示した。
テレビ文化と情報の即時性が融合する中、『USAトゥデイ』は新聞の未来像を問う挑戦となる。伝統紙が長年守ってきた「報道の権威」に対し、この“カラフルな革新者”がどのような波紋を投げかけるか、今後の動向に注目が集まる。
— RekisyNews メディア面 【1982年】