【上海 9月15日】
本日、中国・上海において、新たな思想・文化雑誌『新青年』(中国語:新青年、新しい青年)が創刊された。発行人は陳独秀氏。雑誌はその巻頭にて、「青年は国家の未来である」と掲げ、旧来の儒教的価値観を批判しつつ、新しい時代の思考と行動を読者に促している。
創刊号では、儒教的束縛からの解放、西欧的合理主義・科学精神の導入、自由・平等・民主の理念の普及といったテーマが強調されており、近代化を志向する知識人や学生の間で大きな反響を呼びそうだ。特に、「個人の独立」と「青年の覚醒」を訴える文言は、旧習に縛られた中国社会に警鐘を鳴らすものとして注目される。
本誌は、これまで『青年雑誌』として知られていた刊行物を引き継ぐ形で、編集方針を大幅に刷新して誕生したものである。中心人物である陳独秀氏は、北京大学教授として知られ、長らく中国における近代思想の普及に尽力してきた人物。彼の筆致は鋭く、時に大胆であり、青年層に強い影響を与えている。
雑誌の表紙には、欧文で “La Jeunesse” の名が併記されており、フランス語で「青年」を意味するこの言葉は、欧州思想への憧憬と連携の意思を示しているものとみられる。
中国はいま、辛亥革命からわずか4年あまりが経過し、社会・政治の動揺が続くなかで、知識人たちの間には「国民の精神改革」こそが急務との声が高まっている。『新青年』は、まさにこの時代に生まれるべくして生まれた思想媒体といえるだろう。
次号からは、執筆陣もさらに増える予定であり、今後の展開が注目される。
— RekisyNews 文化面 【1915年】