【ホバート 9月7日】
かつてオーストラリア大陸やタスマニア島に生息していた有袋類の捕食動物、フクロオオカミ(別名:タスマニアタイガー)の最後の個体が、タスマニア州ホバートのボーマリス動物園で死亡した。これにより、フクロオオカミは公式に絶滅種となった。
死亡した個体はオスで、1933年から同園で飼育されていたが、7日未明、寒さと管理不足の中で息を引き取ったとされている。職員によると、夜間に適切な避難スペースを与えられていなかったとの報告もあり、保護体制の不備が指摘されている。
フクロオオカミは、オーストラリア大陸では約3,000年前に絶滅したとされるが、タスマニア島では20世紀初頭まで野生での確認が続いていた。しかし、家畜を襲う害獣とみなされ、政府による駆除奨励金制度も影響して個体数は激減。最後の野生個体が捕獲されたのは1930年であった。
その後、数少ない飼育個体が動物園に収容されたが、繁殖は一度も成功せず、1936年9月7日をもってフクロオオカミの系譜は絶たれた。
近年ではそのユニークな生態や絶滅の経緯に関心が高まり、後悔と共に種の保存の重要性が再認識されている。また、「最後の一頭」の映像資料や剥製は、今後博物館や教育の場で重要な役割を果たすと期待されている。
— RekisyNews 環境面 【1936年】