ルネ・クレマン監督『禁じられた遊び』、日本初公開

【東京 9月6日】

 第25回アカデミー賞で名誉賞に輝き、ヴェネツィア国際映画祭グランプリ受賞など数々の国際的評価を受けたフランス映画『禁じられた遊び(原題:Jeux interdits)』が、本日ついに日本で劇場公開された。

本作はルネ・クレマン監督が1952年に発表した反戦映画の名作であり、戦争の中で失われていく子どもの純真さと、無垢な心が見せる哀しみを静かに、しかし鋭く描いたヒューマンドラマである。

物語は、第二次世界大戦中のフランスを舞台に、空襲で両親と愛犬を失った少女ポーレットが、疎開先で出会った少年ミシェルとともに、死を理解しようと模索する中で「動物たちの墓地」を作っていくというもの。子どもたちの無邪気な行為と、残酷な戦争の現実が交錯するその世界観は、観客の胸に深い余韻を残す。

主演のブリジット・フォッセー(5歳)の繊細な演技と、ナルシソ・イエペスによるギターの旋律《愛のロマンス》が、映画全体に詩的な抒情性を添えており、公開初日から高い評価が寄せられている。

上映館ではすでに満席が続出しており、名作洋画として今後さらに注目が集まることが期待される。戦争を知る世代にも、知らない若者たちにも、多くの問いを投げかける本作は、フランス映画の奥深さを日本に伝える重要な一本となるだろう。

— RekisyNews 文化面 【1953年】

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