上野動物園の人気者ランラン死す 全国に深い悲しみ広がる

【東京 9月4日】

上野動物園(東京都台東区)は本日未明、飼育していたジャイアントパンダの「ランラン」(雌、推定11歳)が死んだと発表した。死因は腸捻転によるショック死とみられ、来園者に親しまれた人気者の突然の別れに、園内外に大きな衝撃が走っている。

ランランは1972年、中国から雄の「カンカン」とともに日中国交正常化の記念として贈られた。丸々とした体と愛らしい仕草でたちまち国民的人気を博し、「パンダ・ブーム」を巻き起こした。以後も長きにわたり、カンカンとの間で繁殖が期待されてきたが、結実には至らなかった。

園によると、ランランは数日前から食欲不振の兆候を見せており、獣医による診察と投薬を続けていたが、今朝4時半ごろに容態が急変し、約1時間後に息を引き取ったという。飼育係や来園者の間には深い悲しみが広がり、朝から花や果物を供える人の姿も見られた。

上野動物園は今後、園内に献花台を設け、ランランの在りし日の姿を写真展示する予定。中国との協議を経て、今後のパンダ飼育についても方針が示される見通しだ。

パンダ外交の象徴でもあったランランの死は、単なる動物の死にとどまらず、日中交流史のひと幕が静かに閉じた瞬間でもある。

— RekisyNews 社会面 【1979年】

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