新時代劇『必殺仕掛人』放送開始 裏稼業描く異色の人間ドラマ

 【東京 9月2日】

テレビ界に新たな衝撃作が登場した。朝日放送制作の時代劇『必殺仕掛人』が、本日夜9時から全国ネットで放送を開始。これまでの勧善懲悪型の時代劇とは一線を画し、「金で人を殺す裏稼業」を描く異色のストーリーが視聴者の注目を集めている。

原作は池波正太郎氏の同名小説で、舞台は江戸時代中期。表の顔は浪人や按摩師でありながら、裏では依頼を受けて悪人を密かに葬る“仕掛人”たちの姿を描く。初回放送では、主人公・藤枝梅安(演:緒形拳)が依頼を受け、悪徳商人を鮮やかに始末するまでを緊張感たっぷりに描写。映像美と静かな迫力が印象的な仕上がりとなった。

脚本を手がけるのは「鬼平犯科帳」などで知られる名脚本家・藤田伝氏。従来の勧善懲悪から一歩踏み込み、「人を裁くのは誰か」「正義とは何か」を問う重厚な人間ドラマが展開される。時代劇評論家の間でも、「これまでにないリアルな殺陣と心理描写で、時代劇の新しい扉を開く可能性がある」と高く評価されている。

制作サイドによると、視聴率よりも内容重視を掲げ、映像表現にも力を入れたという。夜の江戸の闇を活かした照明技術、静寂を効果的に使う演出、そして人間臭いキャラクター造形が、従来の時代劇ファンのみならず若い層にも訴える狙いだ。

次回以降も、梅安や仲間たちが裏社会で繰り広げる緊迫の攻防が描かれる予定で、放送開始早々、業界内外から高い関心が寄せられている。新たな時代劇ブームの幕開けとなるか、今後の展開に注目が集まる。

— RekisyNews 芸能面 【1972年】

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