横山大観ら、日本美術院を再興 新たな近代日本画の拠点へ

 【東京 9月2日】

日本画壇に大きな動きがあった。画家の横山大観(46)らを中心とする一派が、明治期に創設された日本美術院を本日正式に再興した。近代日本画の振興と作家育成を目的とし、東京・谷中に拠点を置く新体制で活動を開始する。

日本美術院は、岡倉天心を中心に1898年に設立されたが、資金難や内部対立から活動が停滞。今回の再興は、横山大観、菱田春草、下村観山ら天心門下の中心人物が結束し、再び「日本画革新」の旗を掲げるものだ。再興発表の席で大観は、「この国の自然と精神を表現する新しい日本画を生み出すため、再び仲間と共に筆を執る」と語り、強い意欲を示した。

新たな日本美術院では、従来の写実主義や形式的な技巧にとらわれず、独自の構図や色彩感覚を重視した革新的な作品づくりを目指す方針だ。また、若手画家の育成にも力を入れ、研究会や展覧会を定期的に開催し、画壇全体の活性化を図るという。

一方で、この再興には賛否両論がある。伝統的な日本画の技法を重んじる保守派からは「革新を名目に、日本画の本質を失うのではないか」との懸念も上がるが、若手画家や評論家の間では「世界に通用する日本美術を生み出す第一歩」と歓迎する声が多い。

日本美術院の初の大規模展覧会は来春を予定しており、大観らの新たな挑戦に国内外の美術関係者が注目している。明治から大正へと移り変わる時代の中、日本画は再び大きな転換期を迎えた。

— RekisyNews 文化面 【1914年】

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