【ウィーン 8月31日】
音楽の都ウィーンで本日、作曲家ヨハン・シュトラウス1世による新作『ラデツキー行進曲』が初めて演奏され、会場となった劇場は熱狂的な拍手に包まれた。オーストリア帝国軍の名将ヨーゼフ・ラデツキー将軍の勝利を称えるために書かれたこの曲は、威厳ある旋律と軽快なリズムで聴衆を魅了した。
演奏はシュトラウス楽団によって行われ、会場には貴族や軍関係者をはじめ、一般市民も多数詰めかけた。冒頭から力強い行進のリズムが響くと、聴衆は次第に体を揺らし、終盤では手拍子が自然発生するほどの盛り上がりを見せた。演奏後は観客総立ちで喝采が送られ、アンコールを求める声が止まなかった。
シュトラウス氏は演奏後、「この曲は祖国と将軍への敬意を込めたもの。音楽で人々の心をひとつにしたかった」と語った。ラデツキー将軍が先日の北イタリア戦線で勝利を収めたこともあり、会場は愛国的な高揚感に包まれていた。
音楽評論家の間では、「単なる軍楽曲ではなく、洗練されたウィーンらしい華やかさを持つ」との評価も上がっている。ウィーン市民の間では、早くもこの行進曲が「新たな国民的楽曲」として受け入れられる兆しが見えており、今後の演奏機会が増えることは間違いない。
— RekisyNews 文化面 【1848年】