人魚姫像、コペンハーゲンで公開 港の新たな象徴に

【コペンハーゲン 8月23日】

本日、ランゲリニエ海岸の突堤でアンデルセン童話『人魚姫』に着想を得たブロンズ像が初めて一般に披露された。滑らかな岩に腰を掛け、沖を見つめる小さな人魚は、朝もやの港に静かな輪郭を刻み、集まった市民や観光客から拍手と歓声が上がった。像は高さ約1.25メートル、台座の花崗岩と合わせて波に耐えるよう据え付けられている。

制作を担ったのは彫刻家エドヴァルド・エリクセン。地元の醸造家で美術庇護で知られるカール・ヤコブセンが、王立劇場で観たバレエ版『人魚姫』に感銘を受け寄贈を申し出たのが発端だ。顔のモデルはプリマのエレン・プライス、身体のモデルはエリクセンの妻エリーネが務め、理想化された線と穏やかな表情に“港の詩情”が託された。

市当局は「首都の玄関口にふさわしい新しい象徴」と位置づけ、遊歩道や桟橋の整備を進める考えを示した。見物の子どもたちは「いつ動き出すの?」と目を輝かせ、年配の市民は「アンデルセンの物語と同じまなざしだ」とつぶやく。朝夕の汽笛と潮の匂い、遠くエーレスンドの水平線——人魚はこれから、季節ごとに表情を変える港の光景とともに、旅人と街の記憶を結ぶだろう。

— RekisyNews 文化・都市面 【1913年】

アイキャッチ画像 Eva Rinaldi – Flickr, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36941593による

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