フォークストンで美人競技会 世界初の試み、海浜リゾートに華

 【フォークストン 8月14日】

英南東部の海浜都市フォークストンで本日、世界でも例を見ない「美人競技会」が催され、国内外から集まった若い女性たちが審査員と観客の前でその魅力を競った。海岸通りの特設舞台には、夏の日差しと海風に映えるドレスや水着姿の参加者が並び、リゾート地は祝祭の空気に包まれた。

この催しは地元観光協会が、避暑客の増加と市の宣伝を目的に企画したもの。事前に新聞広告で応募を募り、国内各地や仏・ベルギーからもエントリーがあった。最終的に25名が本選に進み、年齢・容姿・立ち居振る舞い・衣装の調和などが採点された。

審査は午前のドレス部門と午後の海辺衣装部門の二部構成。観客席からは拍手や歓声が絶えず、時には贔屓の候補者に向けて花束が投げ込まれた。優勝者には金のティアラとリゾート宿泊券が贈られ、2位・3位にも副賞が授与された。優勝したのはロンドン在住の20歳の女性で、「海辺の町にふさわしい健康美」との評価を受けた。

観光協会の代表は「美の競演は町の新しい名物になるだろう」と語り、来年以降の恒例化に意欲を示した。一方、地元紙の論説は「外見だけで女性を評価することへの是非」を問いかけ、波紋も広がっている。

海辺に集った避暑客は「こんなに華やかな催しは初めて」と笑顔を見せ、夕暮れには港のカフェで余韻を語り合う姿があった。フォークストンの浜風とともに、新しい娯楽の形が誕生した日となった。

— RekisyNews 社会・文化面 【1908年】

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