ディズニー、新作長編『バンビ』公開 森の生命を描く彩り豊かな映像

 【ニューヨーク 8月13日】

米国のウォルト・ディズニー・スタジオは本日、5本目となる長編カラーアニメーション映画『バンビ』を公開した。ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで行われた初演には、満席の観客と映画関係者が詰めかけ、自然描写と繊細な物語に大きな拍手が送られた。

本作はオーストリア作家フェリクス・ザルテンの小説を原作に、森に生まれた小鹿バンビが仲間や家族と過ごす日々を通して成長していく姿を描く。物語には友情や別れ、四季の移ろい、自然の厳しさといったテーマが織り込まれ、観客の多くが感動の涙を見せた。

制作は1930年代末から構想が進められ、背景画には実際の森林風景をもとにした写実的な色彩と陰影が用いられている。アニメーターは動物の動きを忠実に再現するため、鹿やウサギなどの実物をスタジオに招き観察を重ねたという。音楽はポール・スミスらが担当し、映像と一体になった音響演出が物語の情感を引き立てる。

上映後、ウォルト・ディズニー氏は記者団に「この作品は子どもだけでなく、大人にも自然の美しさと命の尊さを感じてほしい」と語った。一方で、一部の批評家からは物語の静かな展開について「従来の活劇的要素を好む観客には地味に映る可能性がある」との指摘もあった。

それでも、多くの観客は「映像美と音楽の融合が忘れられない」「動物たちが生きているようだった」と高く評価。『白雪姫』『ピノキオ』『ファンタジア』『ダンボ』に続く新たな長編として、映画史に残る一作となりそうだ。

— RekisyNews 文化部 【1942年】

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