【ヴェネツィア 3月11日】
本日夜、ヴェネツィアの名門フェニーチェ劇場において、現代イタリア最高の作曲家ジュゼッペ・ヴェルディ氏の最新作『リゴレット』が初演された。幕が下りると同時に、劇場内は割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、ヴェルディ氏の輝かしいキャリアにまた一つ、不滅の金字塔が打ち立てられた。
本作は、不具の道化師リゴレットの愛娘ジルダを巡る悲劇を描いたものである。上演に至る道筋は険しく、当初は「君主に不敬である」とするオーストリア検閲当局の執拗な干渉に遭った。しかし、ヴェルディ氏は妥協を許さぬ芸術家魂で台本を練り直し、物語の核心である人間ドラマをより深化させることに成功した。
特に第三幕でマントヴァ公爵が朗々と歌い上げるアリア「女心の歌」は、その親しみやすい旋律と軽妙なリズムで聴衆を魅了。終演後、劇場の外へ出た人々が早くもこのメロディを口ずさみながら運河を渡る姿が見られた。
リゴレットを演じたバリトン歌手フェリーチェ・ヴァレーズ氏の迫真の演技と、ヴェルディ氏の緻密なオーケストレーションが融合した今夜の舞台は、イタリア・オペラの歴史を塗り替えるものとなった。この『リゴレット』の旋律は、明日にはヴェネツィアの街全体に響き渡り、やがて世界中を席巻することになるだろう。
— RekisyNews 文化面 【1851年】
