「五木ひろし」三度目の正直 ── 運命の一曲『よこはま・たそがれ』で再起

【東京 3月1日】

演歌界に期待の新星が、不退転の決意で現れた。

歌手の松山まさる、一条英一、三谷謙として活動を続けてきた実力派、中川進氏が、本日より五木ひろしと改名。平尾昌晃氏作曲の『よこはま・たそがれ』で再デビューを果たした。

これまでに何度も名前を変え、ヒットに恵まれなかった「苦労人」の再起を賭けた舞台は、オーディション番組「全日本歌謡選手権」での10週連続勝ち抜きという鮮烈な実績から始まった。そこで認められた歌唱力を武器に、作詞・山口洋子、作曲・平尾昌晃という黄金コンビが楽曲を提供。従来の演歌の枠に収まらない、都会的で哀愁漂う「ニュー・アダルト・ミュージック」としてのサウンドが完成した。

『よこはま・たそがれ』は、印象的なイントロと、地名を畳みかけるような独特の歌詞が特徴だ。五木氏は「これが最後という気持ちで歌い切る」と語り、その圧倒的な声量と、独特の節回しで聴衆を魅了している。発売と同時にレコード店には問い合わせが相次いでおり、異例のスピードでチャートを駆け上がる兆しを見せている。

アイドル歌謡全盛の時代にあって、実力で勝負を挑む五木ひろし。その低く深く響く歌声は、高度経済成長を駆け抜け、黄昏時に一息つく大人たちの心に深く刺さっている。この再デビューが、日本の歌謡界における「五木時代」の幕開けとなるのか。横浜の海を背景に、新たなスター伝説が始まった。

— RekisyNews 芸能・音楽面 【1971年】

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