【東京 2月25日】
日本の通勤風景を一変させる、新しい「足」ならぬ「紙」が誕生した。産業経済新聞社は本日、わが国初となる駅売り専門のタブロイド判夕刊紙『夕刊フジ』を創刊した。従来の新聞の常識を打ち破るコンパクトなサイズと、目に飛び込む鮮やかなオレンジ色の題字。サラリーマンの知的好奇心と娯楽を刺激するこの「新種」の登場は、高度経済成長に沸くビジネスマンたちの帰宅時間に、新たな旋風を巻き起こしている。
創刊の背景には、多忙を極める都市部のサラリーマン層が、電車内で手軽に読めるニュース源を求めていたという時代のニーズがある。従来のブランケット判(大型)の新聞は混雑した車内では広げにくいという難点があったが、『夕刊フジ』はタブロイド判(小型)を採用することで、吊革に掴まったままでも片手で読める機動性を確保した。また、硬派な政治経済からスポーツ、芸能、さらには「アフター5」の情報までを網羅した独自の編集方針は、既存の夕刊紙とは一線を画す「娯楽性と速報性の融合」を盤石なものにしている。
現場となった都内の主要駅の売店(キヨスク)では、仕事帰りの男性たちが次々と「オレンジ色の紙面」を手に取り、飛ぶように売れる光景が見られた。創刊号のキャッチコピー「オレンジ色の憎い奴」は早くも話題を呼んでおり、従来の新聞の「権威」を排した親しみやすい語り口が支持されている。ある30代の会社員は「このサイズなら満員電車でも周りを気にせず読める。内容も堅苦しくなくて、一日の疲れが取れそうだ」と、満足げに語った。
この『夕刊フジ』の成功が、駅売りタブロイド紙という新たな市場を盤石なものとし、後のメディアの多様化や大衆文化の変容にいかなる影響を及ぼしていくのか。オレンジ色の紙面が日本の夕暮れ時をいかに彩り、ビジネスマンの「戦友」として語り継がれていくのか。活字文化の新たな一ページを開いたこの挑戦の行方が、今まさに鋭く注目される。
— RekisyNews 文報 【1969年】
