【ワシントン 2月24日】
米国のメディア地図を塗り替える、非営利・公共放送の新たな旗手が登場した。本日、全米規模のネットワークを持つ公共ラジオ局、「ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)」が正式に発足した。1967年に制定された公共放送法に基づき設立されたこの組織は、スポンサーの意向に左右されない「独立したジャーナリズム」と「質の高い文化番組」の提供を標榜。商業放送が支配する米国の電波空間において、市民の知的好奇心に応える新たな選択肢としての役割が期待されている。
NPR発足の背景には、急速に進むテレビの普及と、それに伴うラジオの娯楽化への危機感がある。創設メンバーたちが掲げる理念は、単なるニュース報道に留まらず、全米の大学や地域放送局を繋ぎ、「多様なアメリカの声」を反映させることにある。本日承認された定款では、教育、教養、そして深い洞察に基づく分析番組の制作が柱として据えられた。これは、情報の断片化が進む現代社会において、深い対話と冷静な議論の場を全国規模で提供しようとする、野心的な試みと言える。
現場となったワシントンの本部は、放送開始に向けた準備に追われ、深夜まで電灯が消えることはなかった。スタッフらの中には、既存の大手ネットワークから「真の報道を追求したい」と移籍してきた志高きジャーナリストの姿も目立つ。初代会長は「我々の使命は、聴衆を単なる『消費者』としてではなく、『思考する市民』として扱うことだ」と熱く語り、スタッフたちと固い握手を交わした。スタジオの外には、全米各地の提携局から続々と連帯のメッセージが届き、公共の波(パブリック・ウェーブ)が国中を駆け巡る高揚感に包まれている。
このNPRの発足が、将来の『オール・シングス・コンシダード(All Things Considered)』のような長寿番組を生み、米国の知的インフラとしての地位を盤石なものにするのではないかとの見方もある。また、この「公共の広場」としてのラジオが、分断が懸念される社会にいかなる共感の橋を架け、ジャーナリズムの信頼性をいかに守り抜いていくのか。ワシントンから発信された最初の一歩が、人々の生活にどのような「考える時間」をもたらすのか、その行方が鋭く注目される。
— RekisyNews メディア報 【1970年】
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