「真実を語る」電波の弾丸 ── 対外放送 VOA、放送開始

【ニューヨーク 2月24日】

戦時下の暗雲漂う欧州へ向けて、自由の国からの「声」が初めて届けられた。アメリカ政府による外国向け短波放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が本日、正式に放送を開始した。ナチス・ドイツによるプロパガンダ工作が激化する中、中立を排し、事実に基づいた情報発信を行うことで、占領下の国民や敵国兵士に揺るぎない「真実」を伝える。これは、銃火を交える戦場とは別の、「電波による思想戦」の幕開けを意味する。

記念すべき第1回目の放送は、ドイツ語で行われた。冒頭、ウィリアム・ハーラン・ヘイル氏による「我々はアメリカからの声を届けます」という宣言に続き、「ニュースは我々にとって良いものかもしれないし、悪いものかもしれない。しかし、我々は真実を伝えます」という衝撃的な誓いが読み上げられた。これまで枢軸国側の歪められた報道に晒されてきた欧州の人々に対し、敗戦の事実すら隠さず伝えるというこの真実一路の姿勢は、合衆国政府が掲げる「心理戦」の核心であり、情報の信頼性こそが最大の武器であることを示している。

現場となったニューヨークのスタジオ内は、放送開始の瞬間、静かな、しかし確固たる決意に満ちた空気に包まれた。マイクを前にしたアナウンサーたちの背後には、最新鋭の短波送信機が唸りを上げ、大西洋を越えてナチス支配下のラジオ受信機へと信号を送り出している。制作を主導した劇作家ジョン・ハウスマン氏は「嘘で固めた宣伝(プロパガンダ)に対抗する唯一の手段は、飾り気のない事実だ」と語り、スタッフらと硬い握手を交わした。放送室の窓の外には、戦時体制に移行したマンハッタンの街並みが広がり、「声」という目に見えない援軍が海を渡っていく。

このVOAの放送開始が、占領下の人々の士気を高め、第二次世界大戦の帰勢を左右する強力な「情報の盾」となるのではないかとの見方もある。また、この「真実を語る」というドクトリンが、後の冷戦期においてもいかなる役割を果たし、民主主義の価値を世界に浸透させるための基盤を盤石にするのか。アメリカが放ったこの電波の矢が、偽りの壁をいかに撃ち抜いていくのか、その行方が鋭く注目される。

— RekisyNews 戦報 【1942年】

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