「携帯でネット」時代の幕開け ── NTTドコモ、iモードを開始

【東京 2月22日】

日本の通信史における巨大な転換点が本日、静かに、しかし力強く刻まれた。

NTTドコモは、携帯電話からインターネットへの接続や電子メールの送受信を可能にする新サービス、iモード(i-mode)を開始した。これまでの「話す」ための道具であった携帯電話を、情報を「引く・送る」ための多機能端末へと進化させるこの試みは、世界に先駆けた独自のモバイル通信規格として、人々のライフスタイルを一変させる可能性を秘めている。

注目の初号機として市場に投入されたのは、富士通製の「mova F501i」である。この端末は、従来の携帯電話にはなかった大型の液晶画面と、上下左右に操作できる十字キーを備えている。利用者は、専用のボタンを一度押すだけで、ニュースの閲覧や銀行振込、さらにはキャラクター画像のダウンロードといった多彩なコンテンツにアクセスできる。独自の記述言語であるCompact HTMLを採用したことで、既存のインターネット資産を軽量なモバイル環境へと取り込むことに成功した。月額300円という低価格な付加機能として提供されるこのサービスは、若年層からビジネスマンまで幅広い層の関心を集めている。

本日、都内のドコモショップや家電量販店の店頭では、最新の「F501i」を手に取り、慣れない手つきでボタンを操作する人々の姿が見られた。ある利用者は「パソコンを開かずにメールができるのは魔法のようだ」と驚きを口にし、画面に映し出された簡素な文字情報に見入っていた。一方で、通信速度は依然として9.6kbpsと低速であり、複雑な画像の表示には時間がかかるなど、技術的な制約も残っている。しかし、掌の中の小さな画面が「情報の窓」へと変わった瞬間、店内の空気は期待に満ちたものとなった。

このiモードの登場が、わが国独自の情報通信エコシステムを形成し、後の電子商取引やデジタルコンテンツ市場の爆発的な拡大を牽引するのではないかとの見方もある。PC中心のネット社会を「手のひら」のサイズへと凝縮させるこの革新的なプラットフォームが、個人の情報密度を劇的に塗り替え、四六時中ネットワークと繋がる新たな人類の在り方を規定していくのか、その革命の行方が鋭く注目される。

— RekisyNews IT面 【1999年】

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