羽生、王将奪取で七大タイトルを一挙制覇 将棋界に新記録

【山口・下関 2月14日】

第45期王将戦七番勝負第4局が14日、山口県下関市で指され、挑戦者の羽生善治名人が谷川浩司王将を破り、初の王将位を獲得した。七番勝負は羽生の4勝0敗で決着。これにより羽生は、竜王・名人・棋聖・棋王・王位・王座に王将を加え、七大タイトルを同時に保持する前例のない記録を打ち立てた。 

対局は序盤から両者が慎重に駒組みを進め、中盤では形勢が揺れた。終盤、羽生が要所で踏み込み、受けの難しい局面を築いて押し切った。終局後、会場には全国からの報道陣が詰めかけ、対局室前の廊下は取材陣で埋まった。関係者は「一つの棋戦に勝つだけでも難しい。複数タイトルを守りながら挑戦権を得て、さらに奪取するのは並大抵ではない」と驚きを隠さない。

羽生は「大きな節目だが、一局一局の内容を大切にしたい。次の番勝負も気持ちを切らさず臨む」と短く語り、記録よりも対局そのものを見据える姿勢を示した。昨年の同カードでは挑戦が実らず、あと一歩で全冠制覇を逃した経緯もあり、今回の快挙は雪辱を果たす形となった。 

一方、谷川は「自分の将棋を出し切れなかった」と述べ、再起を誓った。将棋界では長く「全冠制覇は夢」とも言われてきたが、第一線の厳しい競争の中で実現した意義は大きい。各地の将棋会館や道場では祝福の声が相次ぎ、少年少女の来場が増えるなど、人気の広がりも感じられるという。七つのタイトルを抱える羽生には今後、立て続けに防衛戦が待つ。対局への注目は当面続きそうだ。 

— RekisyNews 文化面 【1996年】

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